#12 大内信雄(nicher)/移動雑貨店(仙台市)

更新日:2019年4月1日



誰もが持っている「自分を形成しているもの」

それをゲスト本人に5つ選んでいただき、

どういう人かを紐解いていきます。

12人目のゲストは移動雑貨店の

「nicher」さんこと大山信雄さんです。


nicherさんとの出会いは、*暮らし人がまだ営業していた頃、縁があってイベントの企画を任されたことがあり、イベント出店者を探していたことがあった。ひと×ひとの準レギュラーでもあるKEITA CANDLEさんに紹介してもらい、nicherさんの存在を知ることとなる。文具や雑貨を移動しながら販売する?不思議だがとても興味深い。KEITAさんから話を聞いただけで私はnicherさんに興味を持った。暮らし人でのしごとバーにも出演していただき、知り合ってからは何かとご一緒させて頂いている。今回は、しごとバーでもイベントでも、なかなか知り得ないnicherさんという人柄の本質をインタビューで探っていきたい。



profiel 1972年生まれ、福島県福島市出身

40歳を過ぎてから約20年勤めた福祉施設を退職後、以前から夢見ていた雑貨販売の道へと進む。

店舗を持たず移動販売という形で、仙台市内、県外のイベントやマルシェに出店している。



1、文具


nicher:移動販売をやる上でメインとして取り扱いたかった商品がありました。一本の鉛筆です。ドイツのメーカーの鉛筆なんですが、これをどうしても置きたかった。これがきっかけで文具の展開が広がっていったんです。元々文具が好きなんです。マニアほどではないんですが。お店を始める前から、様々なお店を回って新しい商品や変わった商品を発見するたび買い漁っていました。そうしているうちにこの鉛筆に出会って、運よく卸してくれる問屋さんも見つかり今に至るんです。なのでこの鉛筆は、うちの雑貨店を象徴される商品だと思ってます。


ーそこからだったんですね。


nicher:そうなんです。これからも雑貨店を続けて行く限り、鉛筆自体が廃番にならない限りはこの鉛筆をお店に置いておきたいと思ってます。そのぐらい思い入れが強いですね。

白鳥:この鉛筆とどうやって出会ったのですか?

nicher:きっかけは、知り合いがどこかの文房具屋さんで見つけたといって教えてくれたんです。デザイン性の可愛らしさがある中に、持ちやすい、指がフィットする、三角形の形が手にフィットしやすくて。日本の鉛筆と比べると、鉛筆一本でもこんなに個性が出せるのかと。ちょうどその頃私自身が鉛筆をもう一度使い込み出していて、そういうタイミングにも合ったんでしょうね。


ー何よりも自分自身が気に入ってしまったということでしょうか。


nicher:そうですね。すっかり気に入ってしまいました。鉛筆のイメージをこの鉛筆から変えられたというか。


ーnicherさんの中で「移動販売」というのは決めていたことなんでしょうか?やるなら雑貨、そうしているうちにこの鉛筆に出会ったことで文具も、という流れだったんでしょうか?


nicher:そうですね、順番としてはそんな感じでした。移動雑貨店って面白いなと漠然に思っていましたが、その時は何を売るかということまでは考えていませんでした。今までにないようなことが出来たらと思ってました。そうしているうちにこの鉛筆との出会いを果たして、気がついたら文具ばっかりのお店になってました(笑)


ー(笑)


nicher:ほとんどの商品が文具なので、皆さんからは移動文具屋さんと言われますが、本当は移動雑貨店です(笑)




2、音楽


ー1番目のワードから離れますが、二つ目は音楽。


nicher:なんとも流れの見えない(笑)。これは単純に音楽が好きだということです。子供の頃から音楽がずっと好きで。熱狂的ファンになるアーティストがいるわけではないのですが、ジャンルを問わず音楽が好きですね。アコースティックのギターの音が好きなんですが、高校生ぐらいの時は長渕剛も聞いてました。海外のアーティストだとボブ・ディランなんかも。自分で楽器を演奏して。学生時代にバンドを組んでいた時は、洋楽のロックをコピーしていましたね。ライブも少しやってました。


ー以前しごとバーでnicherの名前の由来がライブだったとお話しされてましたよね?


nicher:そうなんです。それは6年前ぐらいに前の職場で働いている時、職場の仲間が自分たちの企画でライブをしたんです。そこにお誘いしてもらって出演することになって、弾き語りで演奏することになりました。2回開催されて2回とも出演したんですが、1回目は本名で出て、なんか決まらないなぁ、ダサいと思って(笑)。それで2回目の時に「nicher」に。一人でもバンドっぽく聞こえる名前にしたいなと。最初は「the」をつけたらバンドっぽくなると思って「the nicher」だったんですよ。


ーそうだったんですね!その「the」をとって今に至ると。そういう意味では音楽も今のnicherさんにはかなり大きく関わってますね。


nicher:まぁ、関わってるといえば関わってますね(笑)これがなかったらnicherにはなってなかったかも。名前を決める時に、世の中のバンドはどんな名前だったか見直していて、「スキマスイッチ」を思い出した。そこからアイディアを拝借して、「隙間産業」を英語にしたら「nicher」になった、という。


ー今は演奏はされないんですか?


nicher:今は全く。家に帰って一人で弾いて楽しむぐらいです。


ー音楽はいつ聴いてるんですか?


nicher:仕事の移動で車に乗るので、車の中で聴くことが今は一つの楽しみでもあります。販売先が短距離だと長く聴いていられないので、長距離で移動しながらのんびりゆったり聴いていたいですね。

気持ちにゆとりがあれば、家でyoutube使って聴いたり、新しいバンドとか、面白いバンドもyoutubeで探したりしてます。時間がなかなか取れないのでCD屋さんには行けないですね。元々自分で色々と発掘して知ることが好きで、気になったらルーツとかも調べちゃいます。


ー男性はそういう方多いですよね。


nicher:知ってたからどうなんだって事なんですけどね(笑)。どう繋がっていくのか、というのに興味があるんです。きっかけはボブ・ディランなんですが、彼の30周年記念コンサートがトリビュートコンサートだったんです。そこに出てきたアーティスト達のことを調べていくうちに調べて知ることが楽しくなっていったんです。そこからですね。一時期はCDも1000枚近く持ってましたよ(笑)


ーえ!すごい!!!

なんとなく、nicherさんは文具にしてもCDにしても収集癖があるんでしょうか。


nicher:無くは無いですね、否定はできません(笑)


3、子供


nicher:子供が好きなんです。今は介護の仕事をしてますが、元々は保育士になりたかったんですよ。


ー進路悩まれたんじゃないですか?


nicher:高校卒業後、専門学校に入学したんですが、その学校で保育と介護、どちらも勉強できたんですね。結果それがきっかけで今の介護の方にいったんですけど。そもそも専門学校に入る前に、自分が何をやりたいか考えて、料理も好きだから調理師も考えました。でも子供も好きだったし、物心つく頃から近所のチビッコ達を束ねるじゃないですけど(笑)よく遊んでて、単純にこれが職業になったら楽しいなと思って保育士を目指したんです。そこからボランティアをきっかけに介護に進みました。

今は我が子も4人いるけど、子育ても自分なりに楽しんでやれてますし、純粋に子供は可愛いなと思います。

自分が子供の時に、どんな物を買ってたか、どんなものを好きだったかを思い出しながら、お店の商品を選んだりもしていますね。子供達に興味を持ってもらえるものを置きたいという思いもありますし、子供達が楽しんでくれる空間を提供できるようになれたらいいなと思います。


ー以前イベントでおよびした時に、nicherさんが色々商品を使って空間作りを演出してくださいましたよね。


nicher:そうそう。移動雑貨店という立場でもそういうことができるようになれればいいなと。商品の中にいつかは置きたいと思ってるのは絵本です。


ーあー!いいですね!


nicher:親として子供達に読み聞かせしたい絵本と、自分自身が子供だった時に読んでた絵本だったり、いろんな観点から選んだ絵本を置いてみたいですね。販売とは違って”nicher図書館”

みたいなのもやってみたいです。

やってみたい事は本当にいっぱいあって、どこに行き着くかは自分でも分からないですが、キーワードとして「子供」は必ずあるなと感じています。


4、面白い


ーnicherさんの商品を見ていて、nicherさんが選ぶ商品にはとても遊び心があるなと思っています。


nicher:自分が選ぶ商品を見ていて、お客さんや同じ出店者の方からよく言われるのが、駄菓子屋さんみたいな雰囲気だと。駄菓子屋さんイコール子供が集まる場所のイメージもあるし。自分が商品を選ぶ基準は、大人の人が子供の時の事を思い出してもらえるような、クスッと笑ってもらえるような、懐かしいと思ってもらえるものを選ぶ事なんです。大きく見れば、移動雑貨店それ自体が面白いと思ってもらいたいですね。

商品の見せ方も、僕は販売業についたことがないので、ディスプレイの仕方も完全独学ですけど、そこからも面白さを探求していって、どう置いたら面白い、なにコレ、くだらないなと思ってもらえるように工夫しています。楽しんでもらえる要素をどれだけ盛り込めるかと。

意外性を詰め込みたい。わざとらしさがないように、自然にね。

以前弁当箱を販売した時に、ただ置くのも面白くないなと思って、アヒルの人形の商品を詰め込んでみたことがあって(笑)。蓋を開けた時に「なにコレ!(笑)」と笑ってもらえたのは嬉しかったですね。大人にも、子供にも印象に残ってもらえるようにしたいですよね。

お客さんから「面白い」と言われたら成功かなと。

移動雑貨店という珍しさ、商品構成の面白さから結果、「面白い店」になってくれるようにしたい。うちのお店を通して、一瞬でも笑ってもらえる時間を持ってもらえるといいな。


5、「人」


nicher:自分は人見知りです(笑)


ー(笑)


nicher:慣れてくれば全然平気なんですけど、初めてお会いする時なんかは自分でも堅苦しいと思う(笑)。周りからは上手くやってるじゃないかと言われるんですけど、自分では上手く空気感を作れてないと思ってますし、自分が思ってることを最初からは言えないんですよね。人見知りだから(笑)

でも人は面白いって思います。いろんな考えがあっていろんな見方があって、価値観もみんな違くて。人はみんな違っていい、自分でいい。それが合わさった時に面白さが増す、新たなパワーが出るなと。

面倒な時もありますし、人付き合いを避けている時もありますけど、やっぱり楽しい。話すからこそ何かが生まれるし、新たな価値観が備わるし、自分の考えが正しいか見直すことにもなりますし。人を通して自分の生き方を客観視するきっかけにもなりますしね。


ーそうですね、いろんな人がいるから。時にはかき乱されることもありますしね。そういうことすらも面白いと思いますよね。


nicher:結果合わない人でも、その人の言葉が残ったりしますしね。自分の考えと正反対のことを言われた時に、それが基準になることもあったり。自分と合わないと思っても否定しないで聞いてみようとは思ってます。

こうやって取材を受けることで、自分が言った言葉を後から思い返したり、白鳥さんが言った言葉を思い返したりして、それがいつか自分の岐路に立った時に役に立つこともあるんじゃないかな。

人と接点があるからこそ、今の自分があるのかなとも思います。


ー 人と接しないわけにもいかないですしね。


nicher:施設でもそうですけど、一匹オオカミ的な人、自分でそう言う人もいますけど。そうは言ってもどこかで人の手が繋がる時がありますし、一人では生きていけない。


ー 人は生きていれば必ず迷惑もかけるけど、いい影響も与える、持ちつ持たれつですよね。


nicher:雑貨店という部分でも、人は切り離せないものなので。自分のお店も人との繋がりでなんとかやれているので、ありがたい。

評価って大事なことだと思っていて、自己評価ももちろん大事ですけど、他人からの評価も次への力になると思っていて。


ー 無いと頑張れないですよね。


nicher:結果全て繋がってるなと。そこに人がいるからやってる、人がいなきゃできない。それに尽きると思います。


ー編集後記ー


nicherさんは温かい。

話していると、私もホッとする。愛の深い優しい人。

それが言葉からも、選ぶ商品にも全てに通じている。

人との距離が遠い昨今、仕事でストレスが溜まってギスギスしている人、

nicherさんに会いに行こう。移動雑貨店nicherの商品にも癒されよう。

もし訪れるのであれば、ぜひこの記事をネタにnicherさん本人と会話してほしい。

文字や写真だけでは伝えきれないものが、必ずあるから。


インタビューアー:白鳥ゆい

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